03.02&07.2007
表現力育成授業のまとめ
                              校内研修委員会・研究推進チーム
 
1.ねらい
 @表現力は学力(の一つ)だ
  「自己を正しく表現することのできる生徒は学力の高い生徒である」という仮説の基、自分の考えや思いを、正確に、
    わかりやすく相手に伝える力を付けさせたい。
  
  A表現活動は、能動的な学習を可能にする
   ただ受動的に聞いている(受けている)だけの学習スタイルから、より積極的に活動し、学習に主体的に参加する態度
   を喚起したい。
  
 B精神論ではない実践的なスキルを養成する
   人の話を「聞くこと」、自分の考えや思いを「話すこと」、文字で書かれた内容を理解して、相手にわかるように、話しかけ
   るように「読むこと」、問題を解決したり、さらに深めたりするために「質問すること」などを、精神論だけではない、具体的
   なスキル(技術)としての取り組みとしたい。そのようなことが意識できるような授業にしたい。
  
  Cパブリックスピーキングの場を与える
   実際に、人前で「話す」「読む」「質問する」などの機会を与える授業としたい。
  
  DNHK日本語センターが培ってきたノウハウを利用させていただく
   以上のようなことを、具現化するために、NHK日本語センターの援助をいただきながら、授業を組み立てる。
  
2. 表現力育成授業(実践のまとめ)
回数 実施日 単元 副題と内容
第1回
 
05/11(木)
 
授業開き
 
「話す」ってどういうこと?
 NHK 高山哲也アナウンサーの講演(全体会)
第2回
 
05/25(木)
 
「話す」@
 
「話し合い」@
 話し合いのためのルール作り
第3回
 
06/08(木)
 
「話す」A
 
「話し合い」A
 ルールに基づいて、話し合いをしてみる
第4回
 
06/22(木)
 
「話す」B
 
「相手に伝える@ イメージを伝える」
 言葉だけで、イメージを伝える
第5回
 
07/07(金)
 
「話す」C
 
「相手に伝えるA イメージを伝えるA」
 前回の説明を受けて、実際にゲーム形式で練習
第6回

 
07/13(木)

 
「話す」D

 
「ぼんやりからくっきりへ」
 高山アナによる、具体的な「話の作り方」「話し方」指導(全体会)
第7回

 
09/14(木)

 
「話す」E

 
「インタビューからスピーチへ」
 インタビュー(質問)して聞き出したことを元に、ショートスピーチをしてみる。
第8回


 
09/21(木)


 
「話す」F


 
「スピーチをしよう」@
 自分にインタビューをしながら、スピーチの内容を組み立て、実際に班でスピーチをする。録音して聞いてみる。
第9回


 
10/06(金)


 
「話す」G


 
「スピーチをしよう」A
 班の代表を決定し、クラス代表を決める発表会を行った。代表は、この後文化祭の幕間でスピーチを行った。
第10回

 
11/02(木)

 
「読む」@

 
「緊張感を持って速く読む」
 学年ごとの課題文章を使って、どれだけ緊張感を持って速く読めるかを競い合った。
第11回

 
11/24(金)

 
「読む」A

 
「意味通りに読む」@
 放送を使って全体に技術指導をした後、練習。生徒の例を数人紹介。
第12回

 
12/01(金)

 
「読む」B

 
「意味通りに読む」A
 放送を使って、全体指導。パートごとの注意点を確認した後、練習。発表。録音。
第13回

 
12/21(木)

 
「読む」C

 
「話しかけるように読む」
 棒読み、ずらずら読みにならないように、自分の言葉として話しかけるように読む練習。
第14回


 
01/12(金)


 
「読む」D


 
「自分で読みたいものを読む」
 自分で読んで聞かせてみたいものを探してきて、それを班員に読んで聞かせる。一番良かった作品を班の作品として選ぶ。
第15回
 
01/25(木)
 
「読む」E
 
「班で選んだ作品を読む」
「読む」のまとめとして、班ごとに発表。評価。
第16回


 
02/02(金)


 
「質問する」@


 
「イエス・ノー・クエスチョンの特徴」
 教科のキーワードを使って、「イエス」「ノー」だけで答えられる質問をして、答えを導き出す工夫をゲーム形式で行った。
第17回




 
02/22(木)




 
「質問する」A




 
「5W1Hクエスチョンを使って質問」
 ニュース原稿の「読み」「聞き取り」、質問をして要旨を聞き出し、メモ。それを元にして「話す(再現する)」。要点がどれだけ聞き出すことができていたかをチェックし、班ごとに競い合う。これまでの学習の総まとめ的な位置づけとなった。
第18回



 
03/02(金)



 
1年間のまとめ



 
「1年間の『表現力育成授業』をふりかえって」
・1年間の振り返り(映像などを使用)
・川島隆太教授からのメッセージ
・NHK日本語センター木原副センター長による講演「表現力育成授業で学んできた力とは?」
 
3. 成果と課題
 ※各指導案についての改善、反省などは時間をかけ点検する。

《成果》

◆全校一斉の取り組みで、「ねらい」を全員で共有する画期的な試みであった。
 (全体で取り組む難しさを克服しつつある。次年度に向けた見通しが立てられたことは一定の成果を得た。)
◆教師も生徒も手探りの状態から始まり、戸惑いの連続であったが、生徒は全体的に意欲的で前向きに参加していた。
◆木原さんに撮影していただいている授業風景を見ると、客観的な評価が可能である。
◆NHKの高山哲哉アナウンサーをはじめ、ハイレベルなプロの協力は貴重な体験である。
◆東北大学川島隆太教授の本校の研究に対するアドバイスは、今まで、学校現場で行われてきた「勘」と「経験」に頼る指導に科学的な
  根拠を示していただいた。
◆大半の指導内容が、今まであったものをなぞるのではなく(どこかに誰かのお手本がありそれを真似たのではない)自分たちで獲得
  した考え方と指導である。
◆「話し合う」「インタビューする」「速読する」「意味通りに読む」「説明する」「再現する」「質問する」などは、教科の授業、学校生活全般
 にフィードバックできる。
 例:「読む」ことのめざしたもの
   うまく「読む」ことではなく、聞き手に内容を届ける。インプットしたものを、立場を変えて、アウトプットさせた。文章を理解し一所懸命
 「読み」、人に聞いてもらおうではなく、理解したものをもう一回、聞いている人に向かって届ける作業が「読む」である。
◆年度当初に立てた大まかな「スケジュール」と「ねらい」は紆余曲折はあったが、ほぼ実行できた。
◆「表現力」を磨くための体系化が多少見えてきた。
(体系化できることと、自ら理解し獲得しなければ身につかない要素もあるが)
 
《課題》
★指導案が十分に吟味できない状態が多かった。また、内容や流れを皆さんに理解していただく時間的な余裕が無かった。
★「何ぜこれをやるのか」その「ねらいは」を生徒に十分説明できていなかったこともあった。
★研修チームの準備不足もあり、一単位時間のロスがかなり見られた。(導入に時間がかかっていた。手際よく準備ができなかった。
ただし、次年度はもう少し見通しが立てられる。)
★全体的に消化不良になっている取り組みもあった。(時間配分を的確にできなかった。)
★よい題材、よくない題材が含まれていたと思うが、多くの方のアイデアをいただけると、改善がスムーズに進むはず。
★見通しを立ててとアドバイスをいただいたがこともありますが、新しいこと、わからないことを、手探りで考え、実行してきたことが研究
の目的ではないか。
★「読む」ことの意義、その方法論は十分に理解されていなかった。難しい点はあるが、最近その「効能」は実証されつつある。
★全学年、同じ題材では1年生には難しすぎたものがあった。「テーマ」「ねらい」は共通でも、題材選びには皆さんの協力をお願いし、
よりふさわしいものを考えたい。
★クラス発表、練習の録音が十分でなかった場面もあった。映像・音声を再現することは、生徒一人一人を客観視させる目的をもっている。
活用の範囲、その効果も大きいはず。次年度は映像、音声の保存にも重点を置きたい。