| 絹本着色朝顔・蜻蛉図(けんぽんちゃくしょくあさがお・とんぼず) |
台東区有形文化財〔絵画〕(平成11年度登載)
台東区下谷 真源寺
縦93センチ、横33センチの大きさの画面に、二世歌麿が朝顔を、窪俊満<くぼしゅんまん>が蜻蛉<とんぼ>を、朗卿<ろうきょう>(経歴等詳細は不明)が秋草をそれぞれ淡彩で描いた掛幅装の作品です。また、特徴的なのは、図のほかに複数の人物が俳諧・狂歌の賛を寄せている点です。その名前を列挙すると、酒月米人<さかづきのこめんど>、大田南畝<おおたなんぽ>、麦藁笛成<むぎわらのふえなり>、窪俊満、鹿都部真顔<しかつべのまがお>、石川雅望<いしかわまさもち>、三陀羅法師<さんだらほうし>、浅草市人<あさくさのいちんど>、山東京伝<さんとうきょうでん>、曲亭馬琴<きょくていばきん>と、文化・文政期の有名文人が勢ぞろいといった感があります。このように絵画と文章や俳諧、狂歌などで構成される形式の書画を寄合書<よりあいがき>といいます。本作品の場合、おそらく狂歌の宣伝などの配り物として作られたのでしょう。というのは、本図と同じ図柄にほぼ同じメンバー(一人入れ替わるのみ)、同じ狂歌・俳諧(窪俊満の「くれなゐ(紅)のいと(糸)の遊ふとみ(見)ゆるにそ日和定まる秋のかけろふ(蜻蛉)」、三陀羅法師の「せんたく(洗濯)の雫もかけぬ袖垣に白と浅黄をしほる朝皃<あさがお>」、山東京伝の「朝かほ(顔)や嵐の庭のやふ(破)れ傘」)を含む作品「朝顔図」が奈良県立美術館に所蔵されているからです。寄せ書きは、普通書画会などの席上で即興に描かれたものに多いのですが、本作品に関しては、画中狂歌に、既に狂歌集に発表してあるものが何点かあり、即興の妙を楽しむ書画会などの席画ではあり得ません。 |