ヤスリ作り(やすりづくり)

深沢敏夫(ふかざわとしお)

台東区生活文化財(平成153月登載)

 台東区東上野


 

ヤスリは5世紀の古墳からの出土例もみられる古い道具で、主に金属製品の製作・整備に用いられる、職人のための道具でした。江戸時代には都市部における需要が増大して、江戸中期頃には江戸市中にヤスリ専業の職人が開業していたとみられます。その技法は明治時代の職人たちに受け継がれていきました。

深沢敏夫さん(昭和16年生)の祖父、松五郎氏が当地で「深沢やすり店」を開業したのは明治30年代頃です。しかし大正期頃から、広島県仁方町などで機械生産されるヤスリが主流となっていきます。昭和3年の『全国金物名鑑』では現在の台東区域に23軒のヤスリ業者がみえていますが、東京の手作りヤスリ職人は次第に減少していきました。

そのような中、深沢敏夫さんは昭和31年から修業をはじめて、伝統的技法によるヤスリの製作・販売を続けました。現在、手作りヤスリ職人は全国でも数少なく、台東区内では深沢さんただ一人です。

特殊な用途に専門化したヤスリの製作では第一人者であり、伝統的工芸品の製作用のヤスリや、外科医療用のヤスリなど、大量生産の規格品では対応できないような、多種多様な顧客の注文に応えています。

基本的な製作工程は以下のとおりです。なかでもD目切り、E焼き入れの作業が最も集中力が必要だといいます。

@火造り A焼なまし B酸洗い C研磨

D目切り E焼き入れ F酸洗いと錆〈さび〉止め加工

 

深沢ヤスリ店ホームページはこちら→http://www.tctv.ne.jp/yasuri-/

▲ヤスリの目切り作業をする深沢敏夫さん

   ▲さまざまなヤスリ

次のページへ

文化財メニューへ