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木造阿弥陀如来立像 (もくぞうあみだにょらいりゅうぞう) |
台東区有形文化財〔彫刻〕(平成3年度指定)
台東区鳥越 長寿院
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昔、奥州名取郡の老婆が紀州熊野権現に参詣したときのこと、恵心僧都〈えしんそうづ〉という著名な僧侶に会い、僧都の持っていた阿弥陀如来像を貰い受けました。老婆は喜んで帰途につきましたが、武蔵国豊島郡まで来ると阿弥陀像は突然重くなり、老婆は近くの寺に安置して、一人故郷へ帰りました。江戸時代初期、この像は神田の長福寺という寺にありましたが、像にまつわる縁起を聞き伝えた笈縁〈きゅうえん〉という僧が、この像を深く信仰し、長寿院を開いて本尊としたそうです。ある日、笈縁が阿弥陀像の傍らで一心に念仏を唱えていた際、「笈縁々々」という声がするので、ふと阿弥陀像を見上げたところ、阿弥陀像の顔が笈縁の頭上に向けて左に傾き、以来「見返り阿弥陀」と呼ばれるようになったそうです。 本像のように「見返り阿弥陀」の名をもつ阿弥陀如来像として、京都禅林寺永観堂〈ぜんりんじえいかんどう〉の木造阿弥陀如来立像(鎌倉時代制作)が著名ですが、類例はきわめて稀です。 本像は、鎌倉時代後期の制作。顔から胸にかけて漆箔〈しっぱく〉(漆塗の上に金箔をはること)をほどこし、衣の文様には切金〈きりかね〉(金箔を紐状に細長く切り漆塗の上に一本ずつはって模様を描くこと)を用いて、今なお鮮やかな金色を残しています。とくに切金文様はとても精緻にほどこされ、顔や着衣に見られるしっかりした彫法とともに、制作者の高度な技術が偲ばれます。 本像は平成2年度区民文化財台帳に登載されましたが、他に類例の少ない像容を有する上、鎌倉時代後期の高度な彫刻技術を見ることができることから、同3年度指定文化財となりました。
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