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木造観音菩薩坐像(もくぞうかんのんぼさつざぞう) |
台東区有形文化財〔彫刻〕(平成2年度指定)
台東区谷中 全生庵
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幕末維新の剣客・政治家山岡鉄舟の開創(かいそう)で有名な全生庵(ぜんしょうあん)の本尊であるこの観音像は、「葵観音」と呼ばれ興味深い伝来をもっています。この像はもともと日向国(ひゅうがのくに)にあった大慈寺という寺院にあったもので、のちに京都の東福寺塔頭(たっちゅう)長慶寺に移され、さらに豊臣家に嫁いだ徳川家康の孫千姫によって江戸城に迎えられました。千姫が亡くなるとこの像は姫の侍女が開いた大塚の大慈寺に姫の遺品とともに安置され「葵観音」の名で知られました。しかし明治維新になってまもなく大慈寺は廃寺となったため、山岡鉄舟がこの「葵観音」を自邸にひきとり、のちに全生庵の本堂に迎えたということです。
この像は平安時代後期の作で、やわらかな線に典型的な定朝様(じょうちょうよう)の作風がうかがえます。また、くりぬかれた像の内側に漆塗が施されている点に特徴がありますが、このような作り方は多くの場合像内に品物を納入するためで、平安時代後期の上級貴族が願主になって作られる仏像にいくつかみられます。この像も同じく品物の納入を考えて作られたものと思われます。 |
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