学校経営方針(1)ふれあい、学びあい、育てあう「心のきずな」をつくる学校
「こんなふうにして子どもは育つのだ」と実感した時
校長 藤原 孝子
全校遠足の電車の中で
電車の中の乗客の表情からは、「こんなにたくさんの子どもが乗るのか」と、少しうんざりという気配が読みとれます。なかよし班での全校遠足の時のことです。目的地は代々木公園、九時に「湯島」のホームに先発グループが到着、乗ろうとした電車は通勤客で満員でした。「すみません!すみません!」と言いながらつめていただき、子どもたちを乗せて、まさにすし詰め状態で電車は出発しました。
ところが少し経つうちに、周りの乗客の雰囲気が変わってきました。子どもたちは、無言です。駅に着くたびに、乗降客のじゃまにならないようにホームに降り、また静かに乗る、揺れても騒がず、どんなに混んでいても無言でじっと我慢して立っている子どもたちに、周りの人々の優しいまなざしが注がれていたのです。もし目を閉じていたら、小学生が集団で乗っているとはだれも思わなかっただろうと思うくらいでした。
電車が都心を過ぎ、座席もだいぶ空いてきました。なかよし班の班長の六年生は、黄色い帽子の一年生に「座っていいよ。」と優しく座らせ、もっと空いてくると二年生を座らせました。上級生は席が空いても最後まで座ろうとしませんでした。座っているまわりの大人たちはその様子を感心したように優しく見つめていました。
活動の意義を自覚すると子どもは変わる
これまで、全校遠足をなかよし班で実施することの意義について、事前に子どもたちとの話し合いがなされました。縦割りでの交流は、異年齢の子どもたちに相互の思いやりと慈しみの心を育てます。また、集団での行動は社会性をはぐくみます。人に迷惑をかけない行動様式を学ぶよいチャンスです。事前の指導をよく理解し受け止め、それを態度で示した子どもたち、そしてそれを温かい目で見つめてくださった大人の存在があり、「こうして子どもは成長していくのだ」と実感した一日でした。
本当の理解とは態度に現れることです。頭で理解するだけでは本当の理解とは言えません。指導したことを、まるで吸い取り紙が水を吸収するかのように学習していく子どもたちを見て、学びの基盤を支えるご家庭のよさを感じました。今後も、よりよく生きる喜びを実感できる教育活動を一層工夫していきたいと思います。